2025年6月15日

相続時精算課税制度と土地相続の税対策

高額な相続税が懸念される土地の相続。
スムーズな相続を実現するためには、事前の対策が不可欠です。
相続税対策の一つとして注目されているのが、相続時精算課税制度です。
この制度は、生前に財産を贈与することで相続税を軽減する効果が期待できますが、その仕組みや適用条件、メリット・デメリットを正しく理解しなければ、かえって税負担を増やす可能性もあります。
そこで今回は、相続時精算課税制度の概要から土地への適用におけるメリット・デメリット、暦年贈与との比較、手続きの流れまでを解説します。
土地の相続を控えている方にとって、役立つ情報となるでしょう。

 

相続時精算課税制度の概要

 

制度の目的と仕組み

 

相続時精算課税制度は、60歳以上の親や祖父母が18歳以上の子や孫に財産を贈与する際に選択できる制度です。
この制度を利用すると、贈与税の課税が相続時まで繰り延べられます。
贈与税の非課税枠は2500万円で、これを超えた部分には一律20%の税率が適用されます。
重要な点は、贈与時に支払った贈与税は、相続発生時に相続税から控除される、もしくは差額が還付されるということです。
つまり、贈与税は相続税の精算のための仮納税と捉えることができます。

 

適用条件と対象者

 

贈与者は贈与を行った年の1月1日時点で60歳以上であること、受贈者は贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であることが条件となります。
さらに、受贈者は贈与者の直系卑属(子や孫など)である必要があります。
ただし、非上場株式等の贈与税納税猶予・免除特例や事業用資産の贈与税納税猶予・免除の適用を受ける場合など、一部例外規定も存在します。

 

非課税枠と活用方法

 

相続時精算課税制度には、2500万円の非課税枠があります。
この枠内であれば、贈与税はかかりません。
2500万円を超える贈与については、超過分に対して一律20%の贈与税が課税されますが、相続税の計算においては、既に納付した贈与税額が控除されます。
したがって、相続税の負担軽減効果が期待できるケースが多いと言えます。
非課税枠を最大限に活用するためには、贈与する財産の選定や贈与時期の検討が重要です。

 

土地への適用メリット

 

相続税額軽減効果

 

土地は評価額が高額になることが多く、相続税の負担が大きくなる可能性があります。
相続時精算課税制度を利用することで、相続税の負担を軽減できる可能性があります。
贈与時点の評価額で相続財産に加算されるため、贈与後に土地の価格が上昇しても、相続税への影響は限定的です。
将来的に地価が上昇する見込みがある土地を贈与する場合、このメリットは特に大きくなります。

 

小規模宅地等の特例との関係

 

相続時精算課税制度を利用して贈与された土地は、相続時に小規模宅地等の特例の適用を受けることができません。
小規模宅地等の特例は、一定の要件を満たす住宅用地や事業用地について、相続税評価額を減額する制度です。
この特例が適用できるかどうかは、相続時精算課税制度の利用有無と比較検討する必要がある重要なポイントです。

 

暦年贈与との比較

 

暦年贈与は、年間110万円までの贈与については贈与税が非課税となる制度です。
相続時精算課税制度と比較すると、暦年贈与は贈与税の非課税枠が小さく、高額な贈与には適していません。
また、贈与者が亡くなる前3年以内(令和6年からは段階的に7年に延長)に行われた暦年贈与は、相続財産に持ち戻されます。
相続時精算課税制度では、贈与時に納めた贈与税は相続税から控除されるため、相続税額が少額の場合には、相続時精算課税制度の方が有利となる可能性があります。

 

土地への適用デメリット

 

贈与税の発生可能性

 

非課税枠を超える贈与を行った場合には、贈与税が発生します。
ただし、この贈与税は相続税の精算時に控除されるため、最終的な税負担は軽減される可能性が高いですが、贈与時点でまとまった資金が必要となる点は注意が必要です。

 

将来の相続税への影響

 

相続時精算課税制度を利用した場合、贈与した財産は相続財産に加算されます。
そのため、相続税の基礎控除額を超える場合、相続税の負担が増加する可能性もあります。
相続財産の総額や相続人の数などを考慮した上で、制度の利用を検討する必要があります。

 

手続きの複雑さ

 

相続時精算課税制度を利用するには、贈与税の申告と相続時精算課税選択届出書の提出など、税務署への手続きが必要です。
手続きが複雑なため、税理士などの専門家の支援を受けることが推奨されます。
必要書類の準備や申告期限の遵守も重要です。

 

相続税対策としての活用方法

 

土地評価の方法

 

土地の評価額は、相続税評価額に基づいて算出されます。
相続税評価額は、路線価や固定資産税評価額などを基に算定されます。
土地の評価額は、相続税額に大きく影響するため、正確な評価額を把握することが重要です。
評価額の算定には、専門家の助言が必要となる場合もあります。

 

税額算定への影響

 

土地の評価額は、相続税額を算定する上で重要な要素です。
相続時精算課税制度を利用することで、土地の評価額が相続税額に及ぼす影響を軽減できる可能性があります。
しかし、他の相続財産との兼ね合いも考慮する必要があります。
相続税の基礎控除額を参考に、相続税額の試算を行うことが重要です。

 

手続きの流れと必要書類

 

相続時精算課税制度を利用する際には、贈与税の申告書、相続時精算課税選択届出書、受贈者や贈与者の戸籍謄本などを税務署に提出する必要があります。
贈与があった翌年の2月1日から3月15日までに申告・納税を行う必要があります。
期限までに手続きを完了できないと、制度の利用ができませんので注意が必要です。
手続きは複雑なため、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

 

まとめ

 

相続時精算課税制度は、生前贈与によって相続税を軽減する効果が期待できる制度ですが、小規模宅地等の特例が適用できないことや、手続きの複雑さなど、デメリットも存在します。
土地の評価額や相続財産の総額、相続人の数、将来的な地価上昇の可能性などを総合的に考慮し、暦年贈与との比較検討を行う必要があります。
また、制度の利用にあたっては、税理士などの専門家のアドバイスを受けることが重要です。
相続時精算課税制度の利用は、専門家の意見を聞きながら慎重に判断することが求められます。
この制度を有効に活用すれば、相続税の負担を軽減し、円滑な相続を実現できる可能性があります。
しかし、誤った利用はかえって税負担を増やす可能性もあるため、専門家への相談は必須です。

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